＊若槻文紀-Wakatsuki Huminori-

　東京のある国公立大の医学部に通う学生。
　出身は都会からはほど遠い田舎町。
　医者の家に生まれ、両親とも優れた医師であったことから、必然的に医者になる道を選ぶ。
　厳格な父と真面目な母との間に生まれた一人息子であったため、過度な期待のもとに育つ。
　だが、彼の能力は二人が望むほどには及ばず、良好な関係は築かれていない。
　医学部に見事合格し、医師になる道を更に突き進むことになったが、自らの能力の周囲との差、漠然として見えない自分という存在の行方、それらに苦しんで都会を一時的に離れ地元へ戻る決意をする。
　やさしい心の持ち主だが、それ故に深く思い悩んでしまう性格。
　ゆかりのことを好きだと思っていたが、自身のそれが恋心だと気付けたのは彼女を失ってからだった。

＊葛城ゆかり-Kazuraki Yukari-


　文紀の幼馴染。
　看護師になるという夢を持っており、彼と同じく東京の大学に行こうと決めていた。
　だが、受験の当日、受験校に向かう途中で交通事故に巻き込まれこの世を去る。
　明るく楽天的で、何事も気に病まない性格。
　その分どことなく抜けていたり、思考の詰めが甘かったりする。
　だがその一方で責任感は強く、自身の手で全てを整えてしまう節が有る。
　文紀のことが大好きで、恋愛感情も持ち合わせていたが、それを前面に押し出すことは少なかった。

＊葛城すみれ-Kazuraki Sumire-


　ゆかりの三つ下の妹。
　看護師を目指す姉と医者を志す文紀を自分も支えたいと、薬剤師になる道を考え始めている。
　我慢強く、一歩二歩下がる気質。
　そのため、姉の訃報を聞いた後も、強く生き続けてきた。
　長女を失ってぎくしゃくする家族をなんとか力付けようと、かつての姉そっくりの容姿をしている。
　密かに恋い慕っていた文紀に再会したことで、思いが溢れる。