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「思い継ぎ語り」あらすじ
 俺は久々に生まれ故郷に帰って来ていた。

 都合の悪い現実から逃れるために。

 もうここに、ゆかりはいないのに。

 吸い寄せられるようにして来てしまったゆかりの墓前の前で、俺は自分の無力さと、ゆかりのいなくなった世界を嘆いた。

 世界は非情に人の歩みを止める。

 奪ったり、せき止めたり。

 俺はもう、前に進めない。

 ゆかり、お前の言葉が、欲しい……。

 そう願っても叶わないと知りながら、俺は願う。

 前に進みたい。そう思っているが故に。

 これは、そう、俺が再び前を向いて歩き出す物語。
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あらすじ
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